ここでは、おもな登記の説明と、どんな時にどのような登記をするのか、という素朴な疑問に、具体例を交えて分かりやすく説明しています。普段、「登記」に接する機会なんて、なかなかないと思いますので、ぜひ参考にしてください。
土地表題登記(旧土地表示登記)
土地の表題登記とは、新たに土地が生じた場合に、その土地の所在、地目、地積などを新しく登記簿に載せる登記のことです。この場合はその所有者に対して、登記を1ヶ月以内に申請する義務が課せられています。埋め立て地はもちろん、この登記をしなければなりませんが、通常は国有地の払い下げがほとんどです。つまり、国有地(里道・水路)を国から買ったときに、この登記をすることになります。
ー具体例ー
建物が古くなってきたので、建て替えをしようと思い、銀行にお金の融通を頼んだところ、「あなたの土地には国有地(里道敷)が入り込んでいるので、今の状態ではちょっと融資が難しい…」と言われた。専門家に調べてもらったところ、確かに里道が細長く走っており、このままでは売買するにしても、支障があることは明白なので、その土地を買い取ることにしました。いつかはハッキリさせなければならない問題だったので、大事になる前でよかったです。
土地分筆登記
ひとつの土地を複数に分割する登記を土地分筆登記といいます。
この登記を行う際には、まず隣接土地との境界確定がなされていることが絶対条件となります。
分割前の土地の境界確定測量の後に、分筆登記の申請がくるとご認識ください。
ー具体例ー
以前、 相続で父親から土地を譲り受けましたが、その土地は私と弟の共有名義(共に持分は2分の1)になっております。特に何の問題も無かったのですが、このままにしておくと、次は私の子供と弟の子供のものになるわけで、そうなると共有者の人数も増え、家の建築や売買など何をするにも全員の同意が必要になり、ややこしくなりそうなので、次の世代のことを考えて、今のうちに私と弟とで半分ずつに土地を分割して、それぞれを単独の名義にして管理しようと思っています。土地のことでもめさせたくないというのが、私と弟の考えでしたので、早めに対処することが出来てよかったです。
土地合筆登記
自分の所有地で数筆の土地が隣接している場合には、これをひとつにまとめることができます。これを土地合筆登記といいます。今までは各土地ごとに権利証などの書類を保管していましたが、それがひとつにまとまるので管理するのが楽になります。ただ、隣接さえしていればすべてが合筆できるというわけではなく、いくつか制限があります。
1. 土地の地目が同じ。
2. 所有権の登記名義人が同じ。
3. 抵当権等の登記がなされている場合には登記原因・その日付・登記の目的及び受付番号が同じ。
ー具体例ー
今回、父が亡くなり相続が発生しました。父には土地があり、その土地は隣り合わせで2筆あり、合計面積が600uありました。相続人は長男である私と母と弟の3人で、このままでは分けにくかったので、一度2筆の土地を合筆し、再度それを200uずつ分筆することにしました。
土地地目変更登記
登記簿上の地目と現況の地目とに相違がある場合に行うのが土地地目変更登記です。この登記には申請義務があり1ヵ月以内に登記をしなくてはなりません。ここで注意してもらいたいのは、農地(地目が田または畑)をそれ以外の地目に変更する場合には農業委員会へ農地転用許可を申請しなければなりません。また土地の一部のみの地目が変わった場合には、その部分を分筆した後に地目変更登記をします。
売買のケースを考えますと、売買するときに現況が宅地でも地目が山林のままだと、取引価格に影響を及ぼす可能性があります。
ー具体例ー
私は農業を営んでいるのですが、今回息子夫婦のために家を建てようと思い、畑をつぶして、そこを造成する計画を立てました。ただ、このことで現況の地目も変わり税金関係もきちんとしておきたかったので、専門家にお願いして地目を畑から宅地に変更しました。
土地地積更正登記
地積の更正登記とは、登記簿に記載されている面積と事実上の面積に相違がある場合に、これを一致させようとする登記をいいます。「面積が違うなんてありえるの?」と思われるかもしれませんが、昔は税金の関係でワザと実際の面積よりも小さめに台帳を作った経過がありましたし、また傾斜地などもかなり誤差がある所もあります。
特に土地を売買するとか、銀行からお金を融通してもらうために担保設定するとかいう時に、この面積の相違が問題となってくるのでご注意ください。
この登記を行う際には、隣接地との境界確定がなされていることが条件となります。境界が確定するまでに時間を要する場合がありますので、余裕をもって計画されることをお勧めいたします。
ー具体例ー
この度、相続が発生し亡父の土地(地目は田で面積は1反)を売却して、各相続人で分配しようと思い、不動産業者に行ったところ、「土地取引は実測面積のほうがいいですよ」と言われ、測量士に測ってもらいました。すると面積が違っており、正しい面積に登記してから売買することにしました。亡父の残してくれたものだったので、きっちり売却できてよかったです。
地図訂正申出
法務局には地図(公図)が保管されています。この保管目的は土地の形状、地番をすべての人に明示することにあります。すべての資料の原点は地図(公図)にあると言われており、とても重要な役割を担っています。事実私どもが何らかの登記をするのにまず調べるのが地図(公図)ですし、不動産業者も土地を売買する時は必ず目を通しています。
しかし、この公図が現地と相違していることがよくあります。なぜなら、法務局に備えられている公図は、古くは明治6年から明治中期にかけて作成されており、この頃は測量技術もかなり未熟なものでした。また山林などは斜面の長さを測り、そのままの数値で公図を作成しているところもありましたから、かなりのズレとして今日まで残っています。
そのズレを正しくするためのものが、地図訂正申出です。これは登記ではありませんが、それに準ずる扱いとされています。
この申出には隣接地所有者の同意も必要ですし、法務局の基となる図面を訂正するものですから、ケースによっては、かなりの時間を要するものがありますのでご注意ください。
ー具体例ー
私は地方に別荘地を所有していますが、そこの現場が現況と公図にかなりの相違がある所でした。この別荘地は私を含めて、約30人がそれぞれ区画割りされた土地を持っており、真ん中付近に市道があるのですが、この市道が大幅にズレていたのです。
現況の市道を公図に合わせてみると17人の土地の上に市道があり、今までどうすることもできずじまいでした。土地の開発などと大それたことは到底できません。
今回、同じ別荘地内の所有者から「土地を死なせないためにも、きちんとしたい」という意見があり、すべての所有者に連絡したところ、「私も気にはしていたのですが、どうすればいいのかわからなかった。何とかできるのであれば、協力したい」と言う声ばかりだったので、全員で地図訂正の申出をすることにしました。(専門的に言うと、集団和解方式による地図訂正申出と言います)
地図訂正が完了するまでには、多少時間がかかりましたが、今では数件の別荘が建っています。みんなの「土地を死なせたくない」という思いが、強い協力意識となりお互い助け合うことが出来たのでしょう。


